鶏清湯の味を変えずに進化させる難しさ

あれこれ

夏の終わりが近づくころ、仕込みの湯気がスープに混ざらないよう換気に気をつけながら、ふとこんなことを考えました。「このスープ、今日も同じ味で出せているだろうか。」

飲食の世界に20年いると、季節の変わり目がいかにスープの味に影響を与えるかが、身に染みてわかってきます。気温・湿度・仕入れた鶏の状態……どれか一つでもズレると、昨日と同じ手順を踏んでいても仕上がりがわずかに違う。それが鶏清湯というスープの、恐ろしいところであり、奥深いところでもあります。

今回は、らーめん和田屋の看板メニューである鶏清湯らーめんを「変えずに進化させる」ことの難しさについて、店主の柳田が率直に語ります。素材選びのこだわりや、製麺所との共同開発の裏側まで、普段なかなか話さないことも書いてみました。

こんな方におすすめ

  • ✅ 津田沼でこだわりのラーメンを探している方
  • ✅ あっさり系ラーメンの奥深さを知りたい方
  • ✅ 家族や大切な人に「本物の一杯」を味わわせてあげたい方
  • ✅ 素材や製法へのこだわりが気になる方
  • ✅ 鶏清湯スープってどうやって作るの?と興味がある方
鶏清湯の味を変えずに進化させる難しさ | らーめん和田屋

「あっさり」こそ誤魔化しがきかない

居酒屋・バー・カフェ・ハンバーグ屋と、津田沼でさまざまな業態を経験してきた私が最終的に選んだのが「あっさりらーめん」でした。周囲からは「なんで濃厚じゃないの?」と言われることも正直ありました。

でも、考えてみてください。濃厚なスープは素材の複雑な重なりで味の輪郭がつくれますが、鶏清湯は透き通ったスープの中に旨みをすべて込めなければならない。余分なものを削ぎ落とした分、素材の質がそのままスープに出てしまう。だからこそ、ごまかしがきかないし、毎日の仕込みに緊張感があります。

津田沼ではまだまだ珍しいジャンルなので、「初めて食べたのにどこか懐かしい」と言ってくださるお客様が多いのが、このスープを続けてきた一番の理由かもしれません。お子さんからお年を召した方まで、家族みんなで「おいしい」と言える味にしたい——そのイメージが、鶏清湯を選んだ原点にあります。

素材選びは「変えないための戦い」

鶏清湯を安定させるうえで、最も神経を使うのが鶏の仕入れです。同じ産地・同じ部位を使っていても、季節によって脂のノリや骨からの出汁の出方が変わります。夏場は脂が溶け出しやすく、冬は旨みが凝縮されやすい。この差をなくすために、火入れの温度と時間を微調整しながら仕込んでいます。

「同じにする」ために「変える」——これが鶏清湯を扱う難しさです。仕上がりのスープを毎朝確認して、「今日は少し引き算が必要だな」「もう少し時間をかけよう」と判断するのは、数値やレシピではなく20年分の経験と舌感覚です。

また、醤油タレにも同じことが言えます。特製醤油ラーメンに使うタレは、鶏の旨みを引き立てながら邪魔をしない絶妙なバランスが必要で、醤油の種類・配合比率は今も微調整を続けています。「完成した」と思った瞬間に気が緩む気がして、意識的に「まだ途中」と考えるようにしています。

鯖まぜそばが教えてくれたこと

鶏清湯の話をしていると、必ずといっていいほど「鯖まぜそばも好きです」という声をいただきます。実はこの二つのメニュー、アプローチはまったく違うのに、素材への向き合い方は同じです。

鯖まぜそばは、鯖節の力強い香りをどこまで前に出すか、その加減が命。攻めすぎると後味がくどくなり、引きすぎると「ただの油そば」になってしまう。このバランスを探りながら試行錯誤した結果、今のレシピに落ち着きました。

「鯖ラーメンがクセになって何度も来ている」

常連のお客様より

この声をいただいたとき、素直にうれしかったです。「クセになる」という言葉は、素材の個性が正しく伝わっているサインだと思っています。鶏清湯の「やさしさ」と、鯖まぜそばの「インパクト」——この両極端を同じ厨房で出し続けることで、素材と向き合う引き出しがどんどん増えてきました。

✓ ここまでのポイント

  • 鶏清湯はシンプルなぶん素材の質と仕込みの精度がそのまま味に出る。毎日の微調整が「変えないための作業」になっている
  • 鯖まぜそばとの両立が、素材へのこだわりをさらに深める契機になった
  • 「クセになる味」は、素材の個性を正しく引き出せた証拠だと考えている

早川製麺所との共同開発麺が生まれるまで

スープと同じくらい、いやそれ以上に時間をかけたのが麺の開発です。鶏清湯のあっさりしたスープには、それを受け止めるだけの麺の力が必要です。細すぎると汁に負けてしまい、太すぎるとスープの繊細さが麺に隠れてしまう。

そこで一緒に取り組んでくれたのが、早川製麺所さんです。何度もサンプルをつくってもらい、試食を繰り返しながら「もう少し小麦の香りを出してほしい」「喉越しをもう少し滑らかに」と細かいフィードバックを重ねました。最終的に完成したのが、全粒粉を配合したオリジナル特注麺です。

全粒粉を入れることで、麺を啜った瞬間に小麦本来の香りがふわっと広がります。これがあっさりスープとの相性抜群で、「ラーメンなのに香りが上品」と言っていただけることが増えました。昆布水つけ麺に使っている麺も同じ流れで開発したもので、5種の昆布を使った昆布水に漬けた状態で提供するため、麺自体の風味がしっかりしていないとバランスが崩れてしまいます。

製麺所さんとのやり取りを通じて改めて気づいたのは、「進化」というのは単に新しいことを加えることではなく、今あるものの完成度を高めることだということ。スープも麺も、変えようとして変えるのではなく、「今よりもっと自分が納得できるか」を基準にしています。

家族みんなが「おいしい」と言える一杯のために

らーめん和田屋には、お子さんを連れたご家族も来てくださいます。鶏清湯のやさしい味は化学調味料的な刺激が少なく、小さなお子さんでも食べやすいとよく言っていただきます。お子様メニューもご用意していますので、ご家族での来店も大歓迎です。

「家族みんなで美味しいと言えるラーメン屋さんを見つけた」——そんなふうに思ってもらえる店にしたい、というのが開業当初からのイメージです。津田沼駅北口から徒歩3分という立地で、仕事帰りにもランチにも気軽に寄れる。20席のこぢんまりした空間なので、一人でも家族連れでも、落ち着いてラーメンと向き合えます。

鶏清湯の味を守り続けながら少しずつ進化させていく——その地道な積み重ねが、「ここの味、やっぱり好きだな」とまた来てもらえる理由になると信じています。完成はまだ先の話ですが、その分、次に来てくれたときにも新しい発見を持って帰ってもらえる店でありたいと思っています。

まとめ:素材と真剣に向き合い続けることが、変わらない味をつくる

鶏清湯というスープは、シンプルだからこそ奥が深く、「変えないために変え続ける」という矛盾を毎日繰り返しています。鶏の仕入れ・醤油タレの配合・早川製麺所との共同開発麺——これらすべてが、一杯の中に収まっています。

家族みんなで囲める味、何度来ても「やっぱりここだな」と思える味をこれからも追い続けていきます。実際のメニューや詳細はこちらからご確認いただけます。

メニュー

初めての方も、久しぶりの方も、ぜひ一度足を運んでみてください。津田沼駅北口から歩いてすぐです。

店舗までのルート

柳田とスタッフ一同、皆さまのご来店をお待ちしています。

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